会社によっては、花形とも言える「営業職」
そんな営業職への就職や転職を考えている方向けに、営業職の魅力・適性・仕事内容などをまとめてみました。
営業職という仕事が、どんな仕事なのかということを把握するために参考にして頂ければと思います。
早速、見ていきましょう。
営業職 | 見出し |
---|---|
1 | 魅力 |
2 | 大変なところ |
3 | 適性 |
4 | 仕事内容 |
5 | 年収 |
6 | スキル・能力 |
7 | 求められる人材 |
8 | 将来性 |
営業職の魅力とは
営業職の仕事には実に様々な魅力があります。
〇最前線でモノやサービスを提供 -「商売の現実」を味わえる-
営業職は、法人向けの営業にしても、個人向けの営業にしても、モノやサービスを提供する最前線での仕事であることから、お客様と最も近い位置に存在します。
その影響から、現実に、どんな商品やサービスが、どんなお客様にどんな風に売れていくのかを、最も間近で目にすることができます。
そうした現場での経験を豊富に積むことができることから、会社によっては、営業職で優れた業績を上げた人をその会社の重役や幹部に登用したり、あるいは、商品開発のキーマンとして扱うことも少なくありません。
営業職は、ビジネスの「現実」を知ることができるという大きな魅力があります。
〇出世の道も転職の道も開けている
先ほど、営業で優れた成績を上げた人は出世しやすいことがあると説明しましたが、これは社内に限ったことではありません。
営業で優れた成績を残せる人のもとには、ヘッドハンティングからの誘いが舞い込んだり、同業他社や取引先からも転職の誘いを受けることは決して珍しいことではありません。
俗に、営業は”つぶしがきく”と言われたりしますが、営業職には、実に様々な道が用意されているというのも魅力の一つです。
〇コツやノウハウが掴めると面白いように売れる
筆者は過去、法人営業、個人営業のいずれも経験がありますが、正直に申し上げて最初の数年間は、まるで結果が残せない、”使えない”営業マンでした。
しかし、あるとき、先輩社員の営業スタイルを研究していくうちに、少しづつ営業のコツのようなものを掴むことができるようになり、そこからはどんどん業績を伸ばすことが出来るようになりました。
そうなると、それまで苦行でしかなかった営業という仕事が、本当に楽しいと思える仕事に様変わりし、毎日の仕事が大充実。
お客様には感謝され、会社の人には褒めて頂き、さらに収入も伸びて、出世までついてくるという好循環は営業職の人が味わえる極上の喜びと言えるでしょう。
〇収入に直結しやすい
営業職は、他の職種に比べると、非常に業務内容が数値化しやすい業務のため、成果が一目瞭然です。
そのため、営業職の仕事は、成果さえ上げることができれば、大きな収入を手にすることも可能です。
実際に、歩合制で働いている営業職(※保険や金融商品など)の人の中には、1,000万円~5,000万円プレイヤーという人もいたりします。
とにかく頑張って働いて稼ぎたい!という方には、営業職は大きな魅力のある仕事と言えます。
〇ビジネスマナ-やコミュニケーション能力を身につけることが出来る
営業職は、最前線でお客様と対面することになるという説明をしましたが、お客様と直に対面をするということは、社会人として必要なビジネスマナーやコミュニケーション能力が否応なしに求められるということになります。
裏を返せば、一人前の営業職として働くということは、社会人として必要なビジネスマナーやコミュニケーション能力がおのずと身につくという見方もできます。
本やセミナーなどでは教えてもらえないような、現場で通用するビジネスマナーやコミュニケーション能力を身につけることができるというのは、営業職の大きな魅力の一つと言えるでしょう。
〇ストレス耐性やスルー力を手に入れることができる
営業職の仕事は、お客様からのお断りにはじまり、クレーム対応、課せられた数値目標(ノルマ)など、心身に負荷がかかる要素が決して少なくありません。
筆者はかつて、それまでの営業成績を見込まれて、ある新規事業の営業責任者を任されたことがあったのですが、半年間、全く結果が出せなかったことがあり、そのときは、心身ともにかなり疲弊したのを憶えています。
しかし、下を向いていてばかりでは前に進めませんでしたので、その後も手探りで営業を続けたところ、1年後には、いち事業としてそれなりに業績を伸ばすことができるようになり、何とか責任者としての役割を果たすことができたということがありました。
営業職の場合、こうした不遇のときを過ごすというのは、誰にでも訪れる可能性があり、そして、そのときに、ストレスにつぶされたり、外部からの批判をスルーできないと、仕事を続けていくことができません。
そう考えますと、営業職という仕事を続けていくということは、ストレス耐性やスルー力を自然と身につけることができるということにもなります。
営業職の大変なところ
営業職には、様々な魅力がある一方で大変なところも少なくありません。
今度は営業職の大変なところについて見ていきたいと思います。
〇結果が出ないとツライ・・
他の職種に比べて、営業職は売上や利益など、その職務内容が数値化されやすいという特徴があることから、結果が誰の目にも明らかになりやすいという側面があります。
特に営業部の他のスタッフと比較されて、一人だけ結果が残せなかったりすると、非常に肩身の狭い思いをしたり、あるいは、上司などから叱責を受けたり、またそれが給与などに反映されたりといったことがあります。
筆者も社会人駆け出しのころ、営業職として全く結果が出せなかった時期がありまして、そのときは、本当に辛い日々でした・・。
〇暑さや寒さに負けてられない・・
内勤営業の方は別として、外出して取引先へ訪問して営業を行う営業職の場合、会社によっては暑い夏でもスーツ着用を義務付けられていたり、あるいは、寒い冬にコートは手に持ったまま、担当者をスーツ姿で待つなんてことは決して珍しいことではありません。
特に、徒歩での移動が多い都市圏の営業は、暑さや寒さが仕事に大きな影響を及ぼすことがありますので、暑さや寒さに弱いという人が営業職を選ぶ場合は、十分に対策を講じておく必要があります。
〇出張が多い
これについては個人差が分かれるところかもしれませんが、人によっては大変と感じるところかもしれません。
例えば、出張の多い営業には、国内営業で、ほぼ毎週、地方へ出張するのが日常化していて、火曜日から金曜日まではホテルなどで宿泊という方や、月に1度は海外へ出張をしている方などがいます。
移動そのものが多いのがストレスだったり、自宅以外で連泊したりすることに抵抗感があり、身体の調子を整えるのが難しいという方は、出張の有無については、先に確認しておく必要があると言えるでしょう。
営業職の適性
ここまで営業職の魅力と大変なところについて説明してきましたが、今度は、営業職の適性、つまり、向き・不向きのポイントについて説明していきたいと思います。
〇営業職が向いていない人
これまで筆者は自分自身も含めて、数多くの営業マン・営業ウーマンをみてきましたが、「この人は営業に向いていないなぁ・・・」と感じる人が少なからずいました。
そこで、どんな人が営業に向いていないのかということを箇条書きでピックアップしてみたいと思います。
・人の話を聞くことができない人
・プライドが高く、意見や考えを修正できない人
・高圧的・傲慢な態度の人
・向上心がない人
・場の空気を読むことができない人
・謝ることができない人
・自己管理が出来ない人
・短期的なことしか考えられない人
・お客様の前で悪口や陰口を言う人
・自己正当化が好きで自己中心的な人
・さぼることばかり考えている人
・大切な約束を守ることができない人
・不潔な人
・不健康な人
・すぐに感情的になってしまう人
上記の中でも、特に営業に向いていないと感じるのは、上から3つの「人の話を聞くことができない」「意見や考えを修正できない」「高圧的・傲慢な態度の人」です。
では、上記のほぼ逆のタイプという形になるのですが、営業が向いている人についてもご覧ください。
〇営業職が向いている人
・聞き上手な人
・柔軟性のある人
・謙虚な人
・前向きで明るい人
・状況を客観視できる人
・非を認めることが出来る人
・セルフマネジメント・セルフコントロールが上手な人
・長期的・多角的な観点から物事を考えられる人
・言葉の重みを知っている人
・利他の心を持っている人
・生産性や効率性を意識できる人
・信頼を大切にしている人
・清潔であることを心がけている人
・心身ともに健康であることを大切にしている人
・冷静な人
営業職の仕事内容
営業職の仕事内容は、法人営業・個人向け営業により多少異なりますが、基本的には、販売する商品・サービスの説明、見積もり、注文、引き渡しまでをフォローするという役目になります。
営業職の仕事内容を簡潔に説明しますと、上記の通りですが、実際にはその中身はもっと幅広く、例えば、自社商品やサービスに関する勉強や研究、競合他社の研究、お客様へのヒアリング、価格交渉、社内稟議、契約内容の説明および確認、アフターフォローなど、その業務範囲は多岐に渡ります。
また、取引となるお客様が法人の場合は、そのお客様の業界に関する動向や研究はもちろん、意思決定までの流れ、裁量権のある人物、担当するクライアントの部署や組織の構成なども折に触れ、チェックしておく必要があります。
そして、そうした幅広い業務を丁寧にきっちりとこなしていきつつ、新規営業や既存のお客様の関係強化といった活動も行っていかなくてはいけません。
また、”社内”での営業も欠かせない重要な仕事です。
お客様との契約を”スムーズ”に進めていく上では、社内のマーケティング、開発、法務、経理、広報、経営陣などとは、常日頃から、コンスタントにコミュニケーションを取っておくことが重要になります。
営業職の年収
先ほど、営業職の年収は、歩合制などを採用している会社の場合、年収1,000万円以上も夢ではないという話をしましたが、一般的な製造業やサービス業では、そこまでの年収は期待できないのが現実です。
特に、製造業などに多いルート営業と呼ばれる営業職の場合は、予め決められた得意先を定期的に訪れる営業スタイルになりますので、営業職とは言え、比較的、ストレスも少なく、その分、給料も少ない傾向にあります。
実際に、筆者がこれまで取引してきたルートセールスの方々は、多くの場合、世間のイメージとは裏腹に、ストレスはあまりなさそうで、”楽”そうな営業職の方がほとんどだった印象です。
一方で、一件あたりの売上額が大きかったり、また粗利が大きい業態の新規営業になりますと、適性さえあれば、年収は極端な言い方さえすれば、天井知らずとも言えます。
筆者が知り得る限りで、最も多くの年収を稼いでいる営業職の方は、生命保険に代表されるような保険商品を法人や医師、弁護士などを対象に、販売する営業職の方で、その方の年収は年間、数千万円の収入を得ています。
また、その他にも、個人向けにリフォームやオール電化、ガス、通信回線の切り替え、太陽光発電システムなどを営業している方の中には、年収1,000万円を超える人は決して少なくありません。
また、最近ではインターネット経由で営業を行っているという方もいたりします。
具体的には、自分でサイトを立ち上げ、そのサイト経由で見込み客を集めて、そのお客様向けに営業を行っていくというスタイルです。
そうしたスタイルの営業職の方の中にも1,000万円を超えるような年収を稼いでいるという人もいたりします。
営業職の年収は、業種、取り扱う商材、勤務スタイル、対象顧客などにより、年収にかなり開きがあるというのが現状になるかと思います。
営業職のスキル・能力
では、続いて営業職として価値を高めることができるスキルや能力について説明していきたいと思います。
〇外国語
日本人の顧客だけを対象にした営業を行うのであれば、日本語だけでも十分ですが、海外や在留外国人を対象に営業を行う営業職の場合、少なくとも英語は必須と言えます。(特に、外資系の企業の場合、決裁権のある担当者が外国人というケースは少なくありません。)
筆者は、海外での営業経験はありませんが、外資系企業を対象に営業を行ったことがありまして、特に最初の頃は、営業として、英語力の必要性を痛感したことがあります。
また、最近では中国人向けに営業するというケースも増えてきていますので、今後は、英語に加えて、中国語も営業職として貴重なスキルになってくるものと考えられます。
〇コミュニケーション・スキル
筆者がわざわざ説明するまでもないことかもしれませんが、営業職ではどれだけ磨いても問題ないのが、コミュニケーションスキルです。
年齢、女性・男性、職業、地域などにより、人間はそれぞれ考え方や価値観は異なりますが、どんな方を前にしても、自分のペースに持ち込めるコミュニケーションスキルは、営業職として必須のスキルと言えます。
ただ、コミュニケーションスキルがあるという自信を持ちすぎると、ときに、それがあるが故に、難しい顧客を”落とそう”と必死になって営業効率を悪化させてしまったり、コミュニケーションに頼り過ぎて肝心の商品やサービスの説明の勉強がおろそかになってしまうことがあったりします。
コミュニケーションスキルはもちろん重要ですが、それに依存しすぎるのはリスクを伴うということも憶えておきたいところです。
〇資格やエンジニア経験など
優れた営業成績をあげる人の中に少なくないのが、エンジニア上がりの営業や有資格者の営業です。
会社の看板や個人の実績、商品・サービス内容が評価される営業はたくさんいますが、例えば国家資格やエンジニア経験といった裏付けのある営業は、数がそれほど多くないために、他の営業と差別化できる大きなポイントになることがあります。
例えば、筆者の知っている優秀な営業の方の中には、栄養士の資格を持っている食品卸の営業や、会計士の資格をもった財務会計ソフトの営業、過去に日本代表にも選ばれた経験があるスポーツメーカーの営業、エンジニア経験のあるIT営業などがいます。
資格やエンジニア経験などは、営業として付加価値を高めることができるスキルになります。
営業職として求められる人材
筆者はこれまで自らが営業職として勤務する傍らで、営業職の採用にも多く関わってきました。
そこで、今度は企業側がどんな「営業職」を求めているのかということを見ていきたいと思います。
〇売上・成果・利益
どんな営業職であっても、まず最優先事項として求められるのが、結果を出せるかどうかという点です。
新卒や未経験はポテンシャル採用がメインとなりますが、中途採用などでは、これまでどんな姿勢で、どんな風に営業に取り組んできたか、そして、どんな営業成績を残してきたのかが、その会社に最も重視されるポイントになります。
ただ、前職で営業成績が良かったから、次の会社でも必ず結果が出せるというものではないのが、営業の難しいところでもあります。
採用面接などで、採用して欲しいがために、過去の営業成績を誇張しすぎるのは、慎重に考えるべきです。
実際に、前職でナンバーワンの営業だった人が、転職先の会社で奮わなかったということは、決して珍しいことではありません。(筆者自身もその経験があります。)
〇社外だけでなく社内でも人間関係が形成できる人
営業職というと、ガンガン営業をかけて数字を取ってくることで評価される傾向にありますが、ただ、社内との人間関係や調整ができるかどうかも重要なポイントの一つです。
なぜなら、社内の人間関係が上手く形成できない人は、いい営業成績を”長く”続けることができないことが少なくないからです。
経理、法務、広報、総務などの他部署の人間と円滑にコミュニケーションが取れないと、中長期的にどこかで業務に支障をきたしたり、トラブルが発生したりする可能性はかなり高くなります。
例えば、筆者が実際に目にしたケースでは、法務と仲が悪い営業が、契約書と秘密保持契約締結を”おざなり”に処理してしまい、その後、クライアントともめ事が起こり、その損害補償額が予想外の規模になり、大きなトラブルに発展したというケースがありました。
上記のケースでは、管理部門の責任も、もちろん問われるべきケースですが、ただ、営業と法務がコミュニケーションをしっかりと取って、契約書の内容を吟味していれば、未然に防げた可能性も十分にあったのです。
営業は、数字だけを追い求めればいいというわけではないのが、お分かり頂けるかと思います。
〇人間性
人間性というと非常に抽象的な表現になってしまいますが、多少営業成績が良くなくても、「考え方」や「熱意」を持って業務にあたることができる営業は企業側に求められることが多いです。
営業は、特に優れた営業になればなるほど、ややもすると、商品やサービスを”売り込んでいまい”がちなところがあります。
そうなると、とにもかくにも商品なりサービスを”売り込みさえすればいい”という行き過ぎとも言える発想にまで至ってしまうことが少なくありません。
しかし、本来、営業は相手の状況を考えて、商品なりサービスを売るのが仕事で、営業であると同時にひとりの人間としての倫理観や人間性を求められることが決して少なくありません。
そういった意味では、熱意のある営業でありながら、豊かな人間性を持っている方は、企業に求められる人材であるということが言えます。
営業職の将来性について
インターネットなどによる情報伝達スピードの向上や、人工知能の登場などにより、今後ますますマニュアル通りの営業は必要とされない可能性が高まっています。
しかし、一方で情報過多の現代社会の中で、価値ある情報、価値ある商品やサービスを本当に必要なお客様に届けるためには、営業という仕事の重要性はますます高まっているという側面もあります。
例えば、法人のお客様であれば、お客様のニーズをくみ取り、潜在的な需要を満たすだけでなく、クライアントが抱える特有の課題、移ろいゆく業界慣習、そして、それまでの”お付き合い”などを総合的に判断して、提案する必要がありますが、そうした”目に見えない”点まで考慮できるのは、人間の営業しかできないことでしょう。
また、何かの購入やオーダーをするにあたって、意識決定を行う側の人間が、必要とする情報にアクセスして検討する時間や労力に余裕があるかと言いますと、個人でも法人の場合でも、決してそんなことはありません。
そんな顧客に対して、事情に精通し、暗黙の了解を踏まえた上で、本当に顧客のことを考えて提案してくれる営業は、ますます必要とされる存在になっています。
だからこそ、今なお転職サイトなどでも、営業の仕事については、膨大な採用募集が好景気・不景気関係なく掲載され続けています。
依然として、営業職の将来は、かなり明るいと言えるでしょう。