転職活動をしていると、面接の終盤になって聞かれることがあるのが
「何か質問はありますか?」
と質問を促される、いわゆる逆質問です。
今回は、そんな逆質問について考察してみたいと思います。
早速、見ていきましょう。
採用を考えている企業は採用するメリットを常に求めている
企業が人材を募集し、採用するにあたって、求めているものと言えば、究極的には、その人を採用することで、企業側がどんなメリットが受けられるかどうかです。
営業を募集している会社は、業績拡大を考えて営業ができる人の採用を行いますし、社内システムの運用管理を効率的に行ってコストダウンを考えている会社はエンジニアの採用を考え、人事を強化して組織としての競争力を強化しようと考えている会社は人事や総務、広報などの人材の確保に努めます。
ただ、どんな職種であれ、採用する企業側は採用目的に合致する人材を募集し、そして、書類審査や面接などを通じて、採用側にとってメリットがあると判断された場合に限り、採用となるという流れは同じです。
そして、この採用する側のメリットを意識するかしないかは、採用される側、つまり、転職者にとって非常に重要なポイントになります。
転職者の採用を決める意思決定の裏側
転職者の採用というと、その決定要因は資質、意欲、技術、年齢、キャリアなど様々な要因が考えられますが、採用者側に採用メリットを感じてもらうには、できるだけポジティブな要因が必要になります。
例えば、採用側が採用メリットを感じる構成要素として下記の対比表をご覧ください。
×(採用へのデメリットを感じる) | ○(採用へのメリットを感じる) |
自我 | 共感 |
後ろ向き | 前向き |
無知 | 専門的 |
保守的 | 向上心 |
非礼 | 誇り |
無気力 | 意欲 |
融通が利かない | 協力 |
狡猾 | 奉仕 |
無愛想 | 団結 |
停滞 | 発展 |
一目瞭然かと思いますが、〇がついている方がポジティブ、×がついてる方がネガティブな構成要素になります。
もし、読者の方が採用を決める立場にいる人間だとしたら、いかがでしょうか。
恐らく、〇が一つでも多い人を採用するのではないかと思います。
ネガティブな要素を多く感じる人を組織のメンバーとして迎え入れると、その人が入社した後の、リスクやデメリットがイメージされて、仮に専門性が高いとしても、採用見送りになることも決して少なくないでしょう。
ということは、転職者側からすれば、いかに採用側にメリットを感じてもらえるか、言い方を変えますと、いかに期待感を持ってもらえるのかということが重要になってきます。
採用者の期待感を醸成させる逆質問とは?
前置きが長くなってしまいましたが、採用者の期待感を醸成させる逆質問について、いよいよ説明していきたいと思います。
上で見た表のように、採用者に採用メリットを感じてもらうためには、できるだけネガティブな質問を避けて、少しでも多くのポジティブ要因を感じてもらう必要があります。
実際に逆質問の例を見ながら、見ていきましょう。
〇ネガティブな印象を与える逆質問と面接官へ与える印象の事例
期待感が醸成されない逆質問例 | 面接官の印象 | コメント |
「いつから出社すれば良いですか?」 | 残念 | まだ採用も決めていないのに・・ |
「離職率は高いですか?」 | 懐疑 | 「高い」と回答すると来ないつもり? |
「昇給は毎年ありますか?」 | 自我 | 自分が貰うことが関心事・・。 |
「有給休暇は、自由に取れますか?」 | 無気力 | もう、休むことを考える? |
「社内割引などはありますか?」 | 非礼 | 入社の目的の一つがそれ? |
「職種変更の希望は出せますか?」 | 自我 | それは会社が決めることだから・・ |
「お正月や夏季休暇はありますか?」 | 無気力 | 入社前から、休むことを考える? |
「家賃補助や他に手当はありますか?」 | 自我 | 自分が貰うことが関心事・・。 |
退職金の規定についてお伺いしたいのですが? | 自我 | 自分が貰うことが関心事・・。 |
〇ポジティブな印象を与える逆質問と面接官へ与える印象の事例
期待感が醸成される質問例 | 面接官の印象 | コメント |
「どのようなスキルを身につければ、御社の業務に貢献できますか?」 | 向上心 | 向上心を持って取り組む姿勢が垣間見える |
「新事業の戦略をさしつかえない範囲で教えていただけますか?」 | 前向き | 業務に対して関心が高い |
「貴社で求められる人物像や資質などを教えて頂けますか?」 | 意欲 | 入社への意欲を感じる |
「差支えない範囲で会社の最優先課題を教えて頂くことはできますか?」 | 貢献 | 課題解決への意識の高さから会社への貢献の気持ちが窺える |
「私に最も期待される役割や成果を教えていただけますでしょうか?」 | 誇り | 転職者としての誇りを感じる |
「募集されている部署の人員構成などをさしつかえない範囲で教えていただけますか?」 | 協力 | チームへの関心があることが窺える |
「会社に馴染むために、何か心掛けておくべきことはありますか?」 | 奉仕 | 組織で働くということへの意欲を感じる |
「募集されている部署で大事にしている価値観や目標などはありますか?」 | 団結 | 組織で働くということへの意欲を感じる |
「既存事業の立て直し成功の背景について、さしつかえない範囲で教えて頂けますでしょうか?」 | 専門的 | 事前にしっかりと調査していることを窺わせる |
2つの表を比較していただくと転職者から発せられる逆質問の内容から、採用者する側が、採用するメリットがあるかどうか?入社後に活躍してくれるだろうか?と、期待値を探っていることがお分かりいただけるのではないかと思います。
採用者の期待感を醸成させる逆質問の作り方とは?
採用者の期待感を醸成させるためには、ポジティブな逆質問が重要ですが、とは言え、質問例を組み立てるには、もうひと工夫欲しいところです。
なぜなら、上の表をそのまま、面接で使用しても他の面接者との差別化が難しいからです。
そこで、他の面接者との差別化を図るための逆質問の作り方として、重要な視点を2つご紹介したいと思います。
〇時系列
できたばっかりのベンチャーから大企業も、過去、現在、未来という3つの時間軸から逆質問を組み立てることで、逆質問の幅を広げることができるようになります。
「現在の最優先課題と、中長期の会社の目標を差支えない範囲で教えていただけますか?」
といった風に、単純に課題を聞くだけでなく、時間軸を加えることにより、逆質問の切り口に独自の視点を加えることができます。
〇面接者の立場
逆質問をする相手がどういう立場の人であるかということも、逆質問では重要なポイントになります。
大きな会社の経営陣クラスになると、現場での細かい業務については知識がない場合があります。
また、現場に近い立場の人ですと、事業戦略や会社としての目標などには、慎重になるケースも少なくありません。
例えば、経営陣に逆質問をする際は、
「経営計画の実現にあたって、最も力を注いでいる事業について、差支えない範囲で今後の事業戦略を教えて頂けますか?」
上記のような少し規模感のある逆質問を選択することで、事前の調査力、会社への関心の高さ、相手が応えやすい質問を用意することができるという能力もアピールすることができます。
まとめ
「転職活動における面接での逆質問は期待感の醸成がカギ!」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
逆質問は、自発的に発言ができるチャンスであり、期待感を醸成できれば、採用を大きく手繰り寄せることができる有効な手段にもなり得ます。
読者の方にとって、少しでも参考になれば、幸いです。